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- 内気なピアニスト -

ドイツ出身の作曲家兼ピアニスト、アドルフ・ヘンゼルト(1814〜1889年)という人を知っていますか?初めて名前を聞くという方も多いのではないでしょうか?彼は、ショパンやリストたちが活躍していた同じ時代を生き、あまり知られていませんが、とても美しい曲をたくさん残しています。
彼は、3歳からヴァイオリンを、5歳からはピアノを習い始めました。奨学金で、ベートーヴェンの友人でありライバルでもあったハンガリー出身のピアニスト、フンメルの弟子となり、1832年にはウィーンで音楽理論家のジーモン・ゼヒターに作曲を習います。そして、演奏会ピアニストとしても成功を果たしました。
彼の弾くピアノのレガート奏法はとてもカンタービレでそれはそれは夢のように美しかったそうです。リストやショパンからも一目置かれ、唸らせるほどのピアノの名手だったと言われています。また、ピアノのヴィルトゥオーソとしても素晴らしく、ラフマニノフも彼からは、多大な影響を受けたといいます。
そんな天才ピアニストでしたが、実は弱点がありました。それは、極度の「あがり症」だった事です。一人で練習している時はとても素晴らしい演奏ができるのに、人前でステージに上がるとそれだけで緊張してしまって、十分に実力を発揮できなかったそうです。
彼は、23歳で結婚し、翌年サンクトペテルブルクに行きロシアの宮廷ピアニストとなって、また、音楽教師としても活動し始めます。聴衆の前で演奏する事を好まなかった彼ですから、それからはほとんどリサイタルは行わず、若くしてピアニストとして身を引いてしまいます。
彼が作曲した作品は、ピアノ協奏曲や即興曲、多くの練習曲集などがあり、演奏会用の12の性格的練習曲『もしも私が鳥ならば』 は特に有名です。また、「ピアノ協奏曲ヘ短調」は、当時ヨーロッパで頻繁に演奏されていたそうです。しかし、残念ながら、現在ではショパンやリストたちのようにポピュラーな曲として演奏される機会は少ないようです。
彼のそれほどまでに美しいカンタービレ、ぜひ一度聴いてみたかったですね。
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